
クララの作ったお話を 紹介しています(不定期でお話は変わります)
『娘の作戦』
「パパ こんなのやってみたら?」定年の年齢になり、
昼間も新聞とテレビの番人になりつつある父に区の
高齢者カルチャー教室の募集案内を見せた。
父はウクレレを若いころから、自己流で弾いていたので、
ウクレレ講座に申し込んだ。
父が週1回、カルチャーに行くようになって、家の中は、
今までとはちがう話題で盛り上がり、空気が明るくなった。
演奏仲間もでき、2年目に入った今、教室の役員を張り切って(?)
やっているようだ。
そして!父の影響か、母もついに同じカルチャー教室の英会話を
始めた。
両親は、生まれつきの障害をもつ私に、どうしても介助が必要、
しかも「私達がやらなきゃ!」と、思い込んでいる。
そんな両親が、老後は楽しく過ごしててほしい!という私の作戦に
まんまとはまり込んでくれた。
これからも、ずーっと健康にウクレレや英会話に燃える年寄りで
いてほしい。
私の介助が、生きがいにならないように・・・。
(2004、6/28毎日新聞 『女の気持ち』掲載されました)
私はこの家のお姉ちゃんが来ているTシャツ。
けさ洗濯されて 物干しざおにかけられているの。それにしても今日はいい天気! 何か良い事がありそう!
そうそう となりにいるのはジーンズくん。
彼はいつも ひとりでいる私に声をかけてくれるの。
話していると楽しいし 最近 ちょっと気になる存在になってるんだ。
今日は私から声かけてみよう。
*あの あのーぉ おはようございまーす*
*おはよー けさもキミは元気だねえ キミの ピッとなった姿を見ると とってもすがすがしくなるんだ*
気になる人に見られると それだけで幸せ!
*ねぇねぇ ジーンズくんは どんなタイプの女の子が好き?*
*ボク? ボクはねぇ とーっても元気な子がいいなぁ 飯島直子や松嶋菜々子なんか 近くにいたら最高だね*
*キミは どんな人が好みなの?*
*キムタクみたいな かっこよくてやさしそうな人・・・もうパパになっちゃったけどね* (キムタクかぁ・・・ポイント高いなぁ)
*でも 今の私は おねえちゃんのTシャツ・・・あっ! 別にお姉ちゃんが嫌いなわけじゃないの
キムタクのTシャツになりたいとか そんなことでもなくてね
いつも いっしょに 泣いたり 笑ったりする人がいてくれたらなぁ って 最近 思っているの*
*ボクも キミと同じようなこと 考えていたんだ
キミといっしょに 過ごせる時間をもちたいんだ キミのこと好きだから 大好きだから*
*ありがとう 私もジーンズくんが好き
明日 お姉ちゃん 私たちを組み合わせて着てくれないかな?*
私 お姉ちゃんのTシャツでよかった。
ジーンズくんに出会えて よかったな。
おとうさんのたまごやき
お父さんが、今日から会社に行かないんだって。
なんだか、へんだなぁ。 日曜日でもないのに、
私も家でのーんびりしたくなっちゃうよ。
でもね、お父さんは私が生まれる前から働いているんだもん
ゆっくりして、今度は自分のために人生、楽しまなきゃね。
なのに、お父さん朝から お母さんとキッチンで、騒がしい。
『私はお化粧してゴミをだしますから、それが終わるまでに、
たまごやき 作っておいて下さいね』
どうやら、お父さんが朝食を作るらしい。 だいじょうぶかなぁ?
キッチンから、カチカチ お鍋の音が何回もして お母さんの料理の音と、やっぱりどこかちがうよ。 しんぱいだな〜。
お父さんは鼻に汗をかきながら『お〜い こんなんでいいか〜ぁ』と、情けない声を出しながら、お皿に盛り付けてたの。
私が身支度を終えると、もうお父さん、テレビの前に正座して、リモコンを握りしめて、いつもの姿にもどってた。
私は、青いお皿に乗った その湯気が出ているたまごやきを
口に入れたの。 やわらかくてフワフワ あまくって
うーん とろけそう・・・ん? たまごやきの中に なにか入ってる!
『なぁに?これ』私が聞くと、お父さん『あ〜これか ハムだよ
冷蔵庫のなかにあったから 入れたんだ』と、得意げに話すから
え〜って、反対できなくなっちゃった。
でも おとうさんの作った、朝食は95点 合格ゾーンにあるの。
5点はハムの分マイナスだけど。
明日の朝食は、野菜いためらしい。
テレビの お昼の料理番組を、必死になって見ている、お父さんは
輝いた目をしていたよ。
でも、あんまり、おいしく作り過ぎて、お母さんの料理をおいこさないでね!